「いつか自分で事業を始めたい…」
「友達から共同でビジネスをやらないかって誘われたけど、どうなんだろう?」
そんな風に考えているあなた。
ちょっと待ってください!
共同経営は、夢を叶えるための手段であると同時に、大きな落とし穴が潜んでいることも事実です。
僕自身、カフェを共同経営していた時に、想像を絶するような苦労と失敗を経験しました。
この記事では、僕の実体験をもとに、共同経営のリアルな実情と、始める前に絶対に確認しておくべき重要なポイントを解説します。
共同経営を検討している方はもちろん、すでに始めている方も、ぜひ参考にしてください。
共同経営、安易に始めると後悔する?


結論からお伝えすると、安易な気持ちでの共同経営は、後々大きなトラブルに発展する可能性が高いです。



「開業資金を抑えられるし、楽しそう!」
そんな甘い言葉に誘われて始めた共同経営は、僕にとって悪夢の始まりでした。
もちろん、共同経営にはデメリットだけではなくメリットもあります。
メリットだけに目を奪われず、デメリットも十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。
僕が体験した共同経営の悲惨な実態
ここからは、僕が実際に体験した共同経営のトラブルについてお話します。
相手を信じすぎた代償


共同経営の相手は、アルバイト時代の後輩でした。
人柄も良く、信頼できる相手だと思っていました。
しかし、それは大きな間違いだったのです。
「彼なら大丈夫」という根拠のない思い込みは、共同経営が始まると同時に崩れ去りました。
まったく噛み合わない経営方針
開業前の話し合いでは一致していたはずの経営方針も、実際は真逆でした。
僕は、今まで経験してきた仕事のノウハウを活かして「お客さん喜んでもらえるカフェにしたい」「自分たちの経営はどこまで通用するのか?」「さらに経験を積んでお店を成長させていきたい」のような気持ちで経営をしたいと思っていました。
一方で彼は遅刻が多く、開店時間になってもお店をオープンできない。
とにかく掃除が嫌いで店内が汚い。
雇っている従業員に対して厳しく、機嫌が悪いと物にあたったり、従業員に物を投げつけるなど完全にパワハラ行為。
ただ、彼はお客さんにはものすごく親切で話も上手く、お客さんからしてみればすごく人柄のいい頼りになるオーナーさんでした。
いわゆる「外面がいい人」です。
表と裏の顔がすごい。こんな極端な人を見るのは初めてでした。
もちろん私は彼に対して注意や意見をするのですが、聞く耳をもってくれません。
注意や意見をすれば機嫌が悪くなる一方です。
気づいて見ればお客さんと仲良くなり過ぎて、もはや友達のたまり場のようになってしまい新規のお客さんが入りづらいカフェになっていました。
「なんか僕が思い描いていたカフェと全然違う…」
彼は、自分がオーナーであることをお客さんに自慢し、周りの人たちから「すごい!」といわれることに喜びを得ていたのではないかと思います。
ただ、彼には人を惹きつける力があるので、これはこれですごい才能だなと関心しするところでもあります。
どうやら彼は、経営をしたかったのではなく、経営者になりたかったのだと思います。
「経営者になりたい」と「経営をしたい」とでは経営方針が違ってくるのも無理はありません。
相手を信頼し過ぎるあまり、経営に対する思いは相手も私と同じであろうと思い込んでいたことが上手くいかなかった要因だと今では反省しております。
ずさんな金銭管理
お店のお金とプライベートのお金を混同するような金銭管理の甘さにも悩まされました。
彼が使う私用でのお金をレジから持っていく。
彼は友達たちと遊びで使うお金を、お店のお金で払おうとしていたので、
僕「今のお店にお金の余裕なんてないよ」
彼「はぁ?そんなの経費で上げればいいじゃん」
話をよくよく聞いてみると、どうやら彼は経費として計上すればお金が湧いてくると勘違いしていたようです。
経費の概念も理解しておらず、経理担当だった私は、その処理に追われる日々。
経営悪化で口論になる


経営悪化により、様々な支払いが困難になっていました。
そんな厳しい経営状況のなか、彼はまさかの行動をとったのです。
知らないうちに飛行機の予約をとって旅行にいってしまいました。
もちろんお金を使ってです。
思うような売上が出ていないときは、「お金を取っているんじゃないか?」と疑われたり、挙句の果てには売上げを出せないのを僕だけのせいにして、「あなたの責任なんだから、自腹で今月の家賃の支払ってくださいね」と、振込用の口座番号をメールで送られたこともあります。
もう怒り爆発です。
お互いの不満が爆発し、壮絶な口論に発展しました。
しかし、相手は責任転嫁ばかりで、話し合いにも応じず、関係は完全に崩壊しました。
そして、言うまでもなく廃業です。
共同経営で失敗しないために、始める前に決めておくこと


以上のことから共同経営するのは苦労することが多いとわかっていただけましたでしょうか。
これでもほんの一部ですが、多くが愚痴みたいになってしまったことをお詫び申し上げます。
経営することが初めてということもあり、お互いが未熟であったために引き起こした結果だと受け止めています。今ではいい勉強になったなと前向きに考えています。
あと、あんなに不仲になってしまった彼でしたが、廃業後はお互い反省して、今では仲直りしています。



ただ、もう二度と一緒に経営なんてしないですけどね(笑)
もし、共同経営を考えているという方は、僕の経験からもわかるように、共同経営を始める前に以下のことをしっかりと決めておくことが重要です。
- 経営方針の明確化
- 給与・報酬の取り決め
- 役割分担とルール設定
- 口約束は厳禁
- 言いたいことはハッキリ伝える
- 撤退ラインを決めておく
1.経営方針の明確化
お互いのビジョン、目標、経営理念などを明確にし、共有することが重要です。
決して、「経営者の立場なのだから、相手も自分と経営に対する方向性は一緒のはずだ」なんて思ってはいけません。
開業する前に必ず意見を出し合って経営方針を一致させておきましょう。
- お互いの目指すべき方向性を必ず一致させる
- もし途中で方向性がずれてしまっても、話し合いをし軌道修正する
2.給与・報酬の取り決め
仕事量や責任範囲に応じて、給与や報酬の割合を明確に決めておくことが重要です。
報酬や給料が同等だと仕事量に対して不満が出たり、トラブルになり兼ねないので、仕事の量や責任範囲でなどで取り分の比率を変えることをおすすめします。
お金が絡むとトラブルになりやすいので、お金に関することはお互いが納得するまでじっくり話し合って決める
3.役割分担とルール設定
お互いの役割分担を明確にし、業務上のルールも細かく決めておくことが重要です。
共同経営のメリットで役割分担をすることでお互いをフォローし合えるというのがあります。
ですが、役割や営業するにあたってのルールを決めておかなければ、お互いの仕事量に差が生まれ不満を抱いてしまいます。
「これぐらいはできて当然なのだから決める必要はないな」と思うような細かいことでも決めておいてください。
例えば、
- 出勤時間
- 開店時間
- ラストオーダーや閉店時間
- 洗い物は誰がするのか?
- トイレ使用時は清掃する など
「えっ!?こんなあたりまえのようなことも決める必要あるの?」と思うかもしれませんが、意外と小さなことで揉めたりもします。明確に決めておくに越したことはありません。
なぜなら、自分にとっての常識は相手にとっては非常識かもしれませんからね。
- 「相手も自分と同じ考えのはずだ」は、ただの思い込み
- どんな些細なことでもルールとして設定しておく
4.口約束は厳禁
口約束は本当に危険です。
口約束なんていう、こんなにも曖昧な約束はありません。
口約束は無いに等しいものだと思っておいてください。
過去に勤めていた会社の上司が「他人は信頼はしても信用はするな!」とよく口にしていましたが、今ではその言葉の意味がすごくわかりました。
どんなに信頼があっても、特にお金が絡んでくると、人は変わってしまう可能性が非常に高いです。
ですので、口約束ではなく必ず書面やデータに残すようにしておいてください。
そうすることで「言った、言わない」でのトラブルを回避することができます。
どんなに些細なことでも、必ず書面やデータに残しておく
5.言いたいことはハッキリ伝える
遠慮せずに意見を言い合い、問題点を早期に解決することが重要です。
言いたいことを我慢して溜め込んでしまうと、どこかで爆発して取り返しのつかないことになってしまうかもしれません。
ですので、言いたいことがあればハッキリと相手に伝えましょう。
言いたいことを言い合う場を設けて定期的に話し合うようにする
6.撤退ラインを決めておく
万が一、経営が立ち行かなくなった場合の撤退ラインを決めておくことが重要です。
経営は始めることよりもやめることの方が難しいといいます。
「ここまできたら潔くやめる」という引き際を決めておかなければ、経営悪化で借金が厳しい状態まで膨れ上がったとしても「廃業したら人生の恥だ」などと判断を誤り、取り返しのつかない事態に陥ってしまう可能性があります。
もちろん最後のぎりぎりまで諦めないことはとても大切なことです。
しかし、その最後のぎりぎり、撤退ラインが決まっていなければ、どこまで頑張ったらいいのかもわかりません。
人は借金が多くなってしまうと、冷静な判断力を失い、適切に対処ができなくなってしまいます。
ですので、経営が悪化したとしても適切な判断ができるように、引き際はしっかりと決めておきましょう。
最後に
共同経営は、成功すれば大きな喜びを得られますが、失敗すれば大きな傷跡を残します。
僕の失敗談を参考に、共同経営のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、慎重に判断してください。
もし共同経営を始める場合は、事前にしっかりと準備をし、お互いを尊重し、信頼関係を築きながら、夢の実現に向けて頑張ってください。



最後まで読んでいただきありがとうございました。